廊下の奥にリビングとキッチンが想像通り広がっていた。

白くて清潔感のある壁。

家具自体は少なくてすっきりしてはいるんだけど。

んん。

玄関とはうってかわって、色んなものが下に落ちてる。

着がえの衣類や、雑誌や分厚い本。

テーブルにも食べかけのお菓子や、恐らく朝食べた時につかったパン皿がそのままになっていた。

足の踏み場もないほどっていうひどさではないけれど、これを松葉杖ついて片づけるのは相当な試練になることは一目瞭然だった。

「とりあえず、いるものいらないものにわけていくわ。ゴミ袋ってどこにある?」

「キッチンの一番奥の引き出し。

「はいはい。あ、あったわ。これ使うわね。」

とりあえず、テーブルの上から床に散らばるものをショウヘイに確認しながら片づけていく。

元々片付けは嫌いな方じゃない。

足下に物が置いたままになってるっていうのは、私自身すごく嫌いだった。

とりあえず目につくところだけは必要なものだけを置いていたかった。

必要なものをテーブルに置いて、更にショウヘイに確認しながら、すぐ使う物、しばらく使わない物に分けてそれぞれの場所に配置した。

「君って意外に手際がいいんだね。」

意外に?意外にとは何よ。

私の普段の仕事ぶりを見ていたらわかるでしょうが。

ファイルの保管の仕方も完璧なんだから。

小一時間くらい、二人でバタバタしていただろうか。

ようやく、松葉杖ついてでもなんとか行き来できるようなスペースと、必要なものがショウヘイのすぐ手の届くところに配置できた。

「これだけやってもらえたら、何とか生活できるかな。ありがとう。」

「いいえ、どう致しまして。これで借りが返せるならお安いご用だわ。」

「助かったよ、ほんとに。お茶でも入れようか。」

「そんな足じゃお茶入れるのも大変でしょ。私が入れるわ。勝手に借りるわよ-。」

そう言いながら、さっき片づけて配置をバッチリ押さえてる私はお茶の用意をさくさくとした。

「なんだかお腹も空いたわよね。え?もうこんな時間じゃない?」

時計を見ると22時少し前だった。

既にお腹を空いたのを通り越してる状態だろうか。さしてお腹は減ってる感じじゃなかった。