それに引き替え、いつまでも待ってるだけの私。

一歩前進したとしても、それは自分の力ではなくて、単なる成り行き。

成り行きでも、チャンスはいくらでもあるのに、核心に触れるのが恐くて逃げてばかりだ。

「私ってきっとせっかちなのね。すぐに答えが欲しくなっちゃう。先生は、私がいくらけしかけても全く動じなくて、答えも出ないの。それが余計に闘志を燃やすわ。」

そうなんだ。

まだうまくいくって段階でもないのに、こんなにも清々しい顔してるマキって本当にすごいと思う。

「マキのそんなとこ、少しだけ欲しいわ。」

「少しだけ欲しい?いっぱい欲しいって言ってよ。」

マキはそう言うとケタケタ楽しそうに笑った。

「チサもさぁ、あんまり色んなことに拘ってると、本当に大事なもの見逃しちゃうよ。チサが今、恋愛に対して一番気にしてることって年齢?それとも失恋に対する恐怖心?」

またするどいところを突いてくる。

「どっちもかな。」

私は苦笑しながらお茶を飲んだ。

「年齢なんて、そんなに気にする?いくつになったって恋愛はできるわよ。うちの母なんて父と離婚した後、50歳で大恋愛の末再婚したんだから。」

「え?本当に?」

初耳だった。

やっぱり血は争えない。さすがマキママだ。

「ほんとほんと。出会う時は出会っちゃうのよ。何歳であろうとどんな状況であろうとね。」

マキは食べ終わったお弁当箱をバックに仕舞うと、化粧ポーチを取り出した。

私も慌ててお弁当の残りをさらえた。

「だからぁ、チサは年齢なんて気にする必要ないの。それにさ、私達まだ30歳だよー。まだまだ花の乙女で通る年齢じゃん。」

「花の乙女はいくらなんでも無理でしょ。」

おどけた調子で言うマキを見ながら笑った。