「ならいいんだけど。」

マキは意味深な笑みを浮かべながら、買って来たカフェラテをストローですすった。

「そうそう、先週体験で行った陶芸、体験だけじゃなくてきちんと習おうかと思って。」

「え?まじで?」

「あの先生さ、毎月2回、ほら駅前のブルースカイビルの23階でやってるカルチャーセンターに教えに来てるんだって。あと、S市に工房持ってるらしくて、今度こないだの体験で作ったお椀を焼くお手伝いもしに行くことに決まった。」

体験後のたった3日間でそこまで話進んでるの??!

思わずあんぐり口を開けてマキの顔を見つめた。

相変わらずの行動力。

だてに名刺もらってた訳じゃないんだ。

その行動力、半分分けてほしいものだわ・・・。

「それって、陶芸に興味があるのか、先生に興味があるのかどっち?」

マキは柔らかく微笑んで前髪を掻き上げた。

「どっちもよ。」

「どっちも?」

「こんな最高なことはないわよね。だって、陶芸っていう趣味まで手に入れつつ、惚れた男のそばに入れるなんて。」

「惚れた男って、また渋い言い方するわね。」

「だって惚れちゃったのよ。好きとか愛とかそういう感じじゃないの。惚れちゃった、のよ。」

「そっかぁ。惚れるってなんだか深いわね。上っ面だけじゃないってこと?」

「まぁね。」

マキは足を組み直して、ご飯を口に入れた。

なんだか羨ましい。

後先考えずにどんどん自分の気持ちに正直に進んでいくマキが。