学校に着くまで、特に龍との会話はない。

龍は、車のBGMの曲をずっと歌ってるし、私はそれをずっと聴いている。

はず、だった。


「夏、起きろ」

「え、もう着いたの?」

「おう。こんな短時間でよく寝れるな」


ほら、はやく起きろってペットボトルの水を渡される。

それを飲みながら目を覚ます。
昨日の夜、ちょっと夜更かししちゃったからなぁ。


「ありがとう」

「ほら、はやく行ってこい」


鞄を渡される。


「うん、そうだね。行ってきます」

「また帰りも迎えに来る」


車が見えなくなるまで見送る。
これも私の毎朝の日課。