私の家は、日本一の暴力団、らしい。
私はよくわからないけど。
そんな私のお父さんは、「高梨組」の二代目組長。
だからおじいちゃんは、初代組長ってこと。
家にはいつもたくさんの「厳つい大人の男の人達」が居て、一人っ子だけど、寂しいなんて感じたことないぐらい、毎日が大賑わい。
みんな優しいからね。
ちょびっと遠い学校に行く為に、わざわざ車を出してくれるから、朝ごはんを食べ終えた私は車に向かう。
その間も私の隣で、私のことを小さい頃からお世話をしてくれている貴一(きいち)がしつこく話しかけてくる。
「夏、今日は俺の運転ちゃうからな」
「さっき聞いたよ。今日は龍(りゅう)なんでしょ。」
「おう。夏、しっかり勉強してきーや」
「それも、さっき聞いたよ」
もうずっと東京に居てるのに、まだ関西弁は抜けないらしい。
「俺は一生関西人や」とかなんだか言ってたなぁ。