私がICUに異動して半年がたった。

今までと違う業務に慣れるのがかなり大変だったけど、思ったより楽しくやれている。

その理由の1つが洋兄ちゃん。
心臓外科のオペ後の患者さんは必ずICUに入室した。
それは一晩だったり2~3日だったり状態によって違うんだけど、オペ当日は必ず入室するのだ。
それはどうやら心臓外科部長の方針らしかった。

循環器内科から異動になった私は心臓外科のオペ後の患者さんの担当を任される事が多かった。
ドクター達とも親しくしていたし。

洋兄ちゃんは私が異動してすぐにICUで私と幼なじみだと公言した。

「秘密にする必要もないし、かえってやりにくい」なんだそうだ。

おかげで、スタッフがいても気軽に声をかけることができた。
もちろん、公私混同はしていない。話しかけるのも仕事の話。
そして『洋兄ちゃん』じゃなくて『池田先生』と『藤野さん』だ。

でも、頻繁に洋兄ちゃんの顔を見ることができるから新しい職場でも頑張れた。
洋兄ちゃんの顔を見るとほっとした。

配属されて知ったのだけれど、外来にある中央採血室もなぜかICUスタッフの仕事だった。

師長からの説明によると、夜勤スタッフの人数を基にしてICUのナーススタッフ人数が決められているため、夜も多くの人数を必要とするICUはかなりの人員が配置されているのだという。

労働基準法もあり、夜勤の回数をやみくもに増やすわけにもいかないので、日勤者が少し多くなり中央採血室も運営することになっているというのだ。

それに、ICUでは採血の為に針を刺すことはほとんどない。
患者さんに留置してあるチューブから抜き取る事がほとんどだから、採血の腕が鈍るってしまわないように中央採血室の業務は最適なのかもしれない。
私は採血に自信があるから採血室業務も苦にならない。