「今、何かとんでもなくしょうもないこと考えてるだろ」
イケメンドクターは私の顔を見てけらけらと笑っている。
「いえ、しょうもないことでもない……ような」
ばかみたいに無防備に男性の部屋に上がり込んだ私。
それと同時に過去にこの部屋に招かれた女性たちのことを考えたら、自分でも気分が重く沈んでいくのがわかった。
「ま、襲ったりしないから、とりあえずここに座っててよ」
デスクチェアーを手前に引き、座るように私の前に差し出した。
とりあえず促されるまま腰をかける。
「襲われるとは思ってませんけど」
「そう?ま、とにかくコーヒー淹れてくるからさ」
「…はい」
イケメンドクターがキッチンに向かうのを目で追う。
コーヒーメーカーをセットしているのを見てからまた視線を水槽に戻す。
ああ、本当にきれいだ。
ここだけは別世界。
ここには小さな南の島のサンゴ礁があるようだ。
両親に連れられて初めて潜った沖縄の海を思い出す。
こうして見るとサンゴ礁も海底遺跡に負けず劣らずステキだ。
でも、この水槽の底に遺跡を模した人工物を沈めたらどんな感じになるだろう。
雰囲気を壊してしまうだろうか、それともさらにロマン溢れるものになるか。
「ずいぶん集中してるな」
イケメンドクターの声にハッと我に返る。
うん、かなり自分の世界に入り込んでいた。
マグカップを差し出され受け取る。
「ありがとうございます。いただきます」
マグカップの私のコーヒーにはミルクが入っていた。
思わずイケメンドクターの顔を見る。
「よくミルクを入れているみたいだったから」
自慢気にニヤッと笑うイケメンドクターに私も笑顔になる。
「お気遣いありがとうございます」
ふふっと笑ってコーヒーを飲む。美味しい。
イケメンドクターはラグに座りコーヒーを飲む。
「気の済むまで眺めていいよ」と言うのでありがたくまた水槽を眺めて自分の世界に入る。
ほとんど会話をすることなく時間が流れる。
気付くとパサッと紙をめくる音がする。
振り返ってイケメンドクターを見ると学会の文献集を読んでいるようだ。
「あっ、ごめんなさい!私、すっかり居すわってしまって先生の仕事の邪魔してますね。帰りますっ」
慌てて立ち上がり、マグカップをキッチンに持って行く。
「え?待って。いいんだ、邪魔じゃないよ」
イケメンドクターも立ち上がりキッチンにいた私に近づく。
「でも」
「邪魔じゃないから。藤野さんがそこにいても全然違和感なかったから」
そう言われても意味がわからない。
違和感ないってなんだろう。インテリアの一部とか?
「でも、遅くなるから今夜はもう帰った方がいいか」
そう言って私の頭に軽くポンと触れた。
時計を見るともう22時だった。
うわっ、ずいぶん眺めていたらしい。
アパートまで送るというイケメンドクターの申し出を頑なに断り、近くのバス停まで送ってもらった。
イケメンドクターは私の顔を見てけらけらと笑っている。
「いえ、しょうもないことでもない……ような」
ばかみたいに無防備に男性の部屋に上がり込んだ私。
それと同時に過去にこの部屋に招かれた女性たちのことを考えたら、自分でも気分が重く沈んでいくのがわかった。
「ま、襲ったりしないから、とりあえずここに座っててよ」
デスクチェアーを手前に引き、座るように私の前に差し出した。
とりあえず促されるまま腰をかける。
「襲われるとは思ってませんけど」
「そう?ま、とにかくコーヒー淹れてくるからさ」
「…はい」
イケメンドクターがキッチンに向かうのを目で追う。
コーヒーメーカーをセットしているのを見てからまた視線を水槽に戻す。
ああ、本当にきれいだ。
ここだけは別世界。
ここには小さな南の島のサンゴ礁があるようだ。
両親に連れられて初めて潜った沖縄の海を思い出す。
こうして見るとサンゴ礁も海底遺跡に負けず劣らずステキだ。
でも、この水槽の底に遺跡を模した人工物を沈めたらどんな感じになるだろう。
雰囲気を壊してしまうだろうか、それともさらにロマン溢れるものになるか。
「ずいぶん集中してるな」
イケメンドクターの声にハッと我に返る。
うん、かなり自分の世界に入り込んでいた。
マグカップを差し出され受け取る。
「ありがとうございます。いただきます」
マグカップの私のコーヒーにはミルクが入っていた。
思わずイケメンドクターの顔を見る。
「よくミルクを入れているみたいだったから」
自慢気にニヤッと笑うイケメンドクターに私も笑顔になる。
「お気遣いありがとうございます」
ふふっと笑ってコーヒーを飲む。美味しい。
イケメンドクターはラグに座りコーヒーを飲む。
「気の済むまで眺めていいよ」と言うのでありがたくまた水槽を眺めて自分の世界に入る。
ほとんど会話をすることなく時間が流れる。
気付くとパサッと紙をめくる音がする。
振り返ってイケメンドクターを見ると学会の文献集を読んでいるようだ。
「あっ、ごめんなさい!私、すっかり居すわってしまって先生の仕事の邪魔してますね。帰りますっ」
慌てて立ち上がり、マグカップをキッチンに持って行く。
「え?待って。いいんだ、邪魔じゃないよ」
イケメンドクターも立ち上がりキッチンにいた私に近づく。
「でも」
「邪魔じゃないから。藤野さんがそこにいても全然違和感なかったから」
そう言われても意味がわからない。
違和感ないってなんだろう。インテリアの一部とか?
「でも、遅くなるから今夜はもう帰った方がいいか」
そう言って私の頭に軽くポンと触れた。
時計を見るともう22時だった。
うわっ、ずいぶん眺めていたらしい。
アパートまで送るというイケメンドクターの申し出を頑なに断り、近くのバス停まで送ってもらった。