拍手はなかなか鳴り止まなかった。
2人はまた頭を下げた。
一生さんがピアノに戻り、木村さんはスタッフが準備した一生さんのすぐ隣のイスに座った。
無事にお披露目した妻を隣に座らせて1曲弾くらしい。
一生さんがまたマイクを持った。
「今から私の愛する妻が大切にしている友人のために演奏します。どうぞ皆さんも自分の大切な人をイメージしてお付き合い下さい」
そう言うと会場内の照明が落とされた。
一生さんと木村さんのいるピアノにスポットライトが当たる。
観客席はかなり暗い。
でも、徐々に目が慣れたのかぼんやりと明るくなり洋ちゃんの顔が見える。
私と目が合うと昔から知っている表情をした。
右目を細めて口角がちょっと上がってる。
ん?
あれ?と思ったけど、洋ちゃんはすぐに優しい笑顔になっていた。
何だろう。
あれは何かいたずらしようとしている時の顔だ。洋ちゃんが小中学生の頃に見た気がする。
そのうちに演奏が始まり、また意識はピアノに集中する。
あ、あれ?
J-POPだ。珍しい?
しかも、私の好きなバンドの曲。
そうそうこれ、好きなのよね。
ピアノでアレンジされていてもとてもいい。
その次はウェディングソングとしても有名な曲。
切ないヴォーカルが特徴だけど、ピアノでもかなり切ない。感動で胸が震えてきて目頭が熱い。
演奏が終わる前に洋ちゃんが私の手の上に左手を置き、耳元に唇を寄せてきた。
「志織」
驚いて洋ちゃんを見るとにっこりと笑っている。
そしてとても真剣な顔をした。
「志織、これからの人生俺の隣で歩いて欲しい。俺と結婚して下さい」
私の左手の上の左手は置いたまま、右手を開いた。
そこには石の付いた指輪がある。
私は驚いて目を見開いた。
これって…。
両目に涙があふれて洋ちゃんの顔が滲んで見える。
「はい。もちろんです。ずっと一緒にいて下さい」
唇も手も震える。
「よろしく。奥さん」
洋ちゃんは私の左手の薬指に指輪を入れて、微笑みながら私の頬を伝う涙を手の甲で拭った。
「志織、泣きすぎ」くすっと笑う。
「だって…」
そして、まだ私の瞳に残る涙に軽く口づけをした。
パチパチパチっと拍手の音がする。
ハッとして舞台を見ると、一生さんと木村さんが私たちに向かって拍手をしている。
次第に他の観客も拍手をし始め、会場内が明るくなった。
いや、会場全体じゃなくて、私たち2人がスポットライトで照らされていた。
恥ずかしい。
洋ちゃんは私の手を握ったまま私に立ち上がるよう促した。
「志織」
「はい」
2人立ち上がり、舞台の一生さんと木村さんにお辞儀をし、観客席に向かいもう一度お辞儀をした。
2人はまた頭を下げた。
一生さんがピアノに戻り、木村さんはスタッフが準備した一生さんのすぐ隣のイスに座った。
無事にお披露目した妻を隣に座らせて1曲弾くらしい。
一生さんがまたマイクを持った。
「今から私の愛する妻が大切にしている友人のために演奏します。どうぞ皆さんも自分の大切な人をイメージしてお付き合い下さい」
そう言うと会場内の照明が落とされた。
一生さんと木村さんのいるピアノにスポットライトが当たる。
観客席はかなり暗い。
でも、徐々に目が慣れたのかぼんやりと明るくなり洋ちゃんの顔が見える。
私と目が合うと昔から知っている表情をした。
右目を細めて口角がちょっと上がってる。
ん?
あれ?と思ったけど、洋ちゃんはすぐに優しい笑顔になっていた。
何だろう。
あれは何かいたずらしようとしている時の顔だ。洋ちゃんが小中学生の頃に見た気がする。
そのうちに演奏が始まり、また意識はピアノに集中する。
あ、あれ?
J-POPだ。珍しい?
しかも、私の好きなバンドの曲。
そうそうこれ、好きなのよね。
ピアノでアレンジされていてもとてもいい。
その次はウェディングソングとしても有名な曲。
切ないヴォーカルが特徴だけど、ピアノでもかなり切ない。感動で胸が震えてきて目頭が熱い。
演奏が終わる前に洋ちゃんが私の手の上に左手を置き、耳元に唇を寄せてきた。
「志織」
驚いて洋ちゃんを見るとにっこりと笑っている。
そしてとても真剣な顔をした。
「志織、これからの人生俺の隣で歩いて欲しい。俺と結婚して下さい」
私の左手の上の左手は置いたまま、右手を開いた。
そこには石の付いた指輪がある。
私は驚いて目を見開いた。
これって…。
両目に涙があふれて洋ちゃんの顔が滲んで見える。
「はい。もちろんです。ずっと一緒にいて下さい」
唇も手も震える。
「よろしく。奥さん」
洋ちゃんは私の左手の薬指に指輪を入れて、微笑みながら私の頬を伝う涙を手の甲で拭った。
「志織、泣きすぎ」くすっと笑う。
「だって…」
そして、まだ私の瞳に残る涙に軽く口づけをした。
パチパチパチっと拍手の音がする。
ハッとして舞台を見ると、一生さんと木村さんが私たちに向かって拍手をしている。
次第に他の観客も拍手をし始め、会場内が明るくなった。
いや、会場全体じゃなくて、私たち2人がスポットライトで照らされていた。
恥ずかしい。
洋ちゃんは私の手を握ったまま私に立ち上がるよう促した。
「志織」
「はい」
2人立ち上がり、舞台の一生さんと木村さんにお辞儀をし、観客席に向かいもう一度お辞儀をした。