バッグの中に入れた財布に視線を落としながらそう考えてしまう。


今あるぶんだけ若葉に払おう。


心の中で決心したと同時に、若葉が座る席まで案内しはじめた。


窓側にある6人用テーブルの席。しかも、そこからはきれいな夜景が見える。


若葉に適当に座るよう指示されて、ここだと思ったところに座る。


私を含む5人全員が席に着いたタイミングで、若葉が持ってきたバッグの中からスマホを取りだした。


「会場に着いたことですし、私たちでまずは話し合いましょうか」


なぜスマホを取りだしたのか気になったけど、厄介なことになりそうなので言わないでおく。


ていうか、合コンって最初に集まった人たちで話し合うのが先なの?


合コン初心者の私には全然わからない。


首をかしげながらそう思っていると、突然誰かがすぐに立ち上がった。


「悪い、親から電話かかってきた。電話出てくるからしばらく4人で話してて」


畠さんが私たちの顔を見もせずにスマホを持って奥のほうへと歩いていった。


残ったのは、私と若葉と野々村さんと磐波さんの4人となった。


畠さんが姿を消した瞬間、この場の空気が一気に重くなる。