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合コンの会場である、学校近くの繁華街につながるレストランまでやってきた。
このレストランは休日はもちろんのこと、平日でも満席になるほど大人気のお店だ。
貸しきりなんて本当ならできないだろうと思うけど、なんと若葉が事前に予約を入れて貸しきり状態にしたらしい。
準備が早いな。
もしかしたら若葉は、私や男子3人を誘う前にこのレストランを貸しきりたいと予約したのかもしれない。
私だったら無理だ。
いくら大人気のお店でも、料理自体の値段が高いし、ひとりで行くのに抵抗がある。
由良や秋帆もこんな高級なレストランに行ったことがないと言っていたからなおさら。
好きな人とふたりで来たら話は別だけど。
店に入るなり、先に入った野々村さんが手を大きく広げて喜びをあらわにした。
「すげぇ、こんなレストランを貸しきりしてんの⁉︎ 若葉ちゃんすげぇじゃん!」
「いえ、そんなことないですよ」
いやいや、そんなことあるでしょ。
心の中で若葉にツッコミを入れる。
ただでさえ高級な料理ばかりがあるレストランなのに、それを貸しきりするってことは、相当なお金が必要だったはず。
もしかして若葉はいいところのお嬢様なのかな?
若葉がお嬢様だろうがそうじゃなかろうが、若葉にとっては痛い出費だっただろう。
あとで若葉に貸しきりに使ったお金を払おうかな。