服装もいたって普通だから、合コンの経験はあまりないのだろう。


ヘタしたら、私と若葉と同い年かもしれない。


一番右にいる人は、すごく目立つというわけではないけど、華やかで、見たらすぐにカッコいいと思ってしまうほどの芸能人オーラがある感じだ。


一番左にいるチャラい感じの人とは違い、ジャラジャラしたものはいっさいつけておらず、髪も派手じゃない。


茶色っぽい黒髪に、無造作にセットされた髪型はピッタリマッチしている。


服装も少しゆるい感じで、私としてはこの中で一番絡みやすいタイプかもしれない。


若葉なら誰が来ても絡みたいのかもしれないけど。


そう思いながら口をつぐんで黙っていると、若葉がこちらに手を差しだした。


だがその手は私を引っ張るためではなく、その男子グループに私を紹介するために差しだされたものだった。


「みなさん、紹介しますね。こちら、私の通ってる高校のクラスメイトの榎本さんです」


若葉がそう言った直後、一番左にいる人が興味津々そうな顔で私に近づいてきた。


ひっ、な、なに……?


「なに〜? この子、めっちゃ可愛いじゃん」


なんかこの人、女慣れしてる感じが強い。


これ以上近づかれたら困る。


心の中で必死に祈ったタイミングで、一番右にいる人が私と左側にいる人の間に割って入った。


「怯えてるじゃん。近づくのもほどほどにしておけって」


私の前に立って、片腕でガードするようにそう言った。


彼からしたら苦手な状況だったから耐えられなかっただけかもしれないけど、私には彼が不思議とヒーローのように見えた。


一瞬だけ心臓がドクンと高鳴った。


その金髪の人が「ちぇーっ」とつまらなさそうな顔で離れていくのを見てようやく止めていた息を一気に吐きだした。