この言葉はあくまでも私の推測でしかないが、私がターゲットにされて殺す標的となっていることはだいぶ前から思っていた。


だって、おかしいもん。


普通に連続殺人事件が起きて、その被害者同士が特定の人物とまったく関係がないなら、ただの殺人事件として警察は捜査する。


だけど、今回の事件はどうだろう。


目をつぶって考えると、殺害された被害者全員の名前が頭に浮かんできた。


まずはいっちゃんの彼氏だった広隆さん。


続いて、合コンのメンバーの野々村さんと畠さん。


一緒に遺体となって見つかった秋帆とその彼氏。


そして、大通りで殺されたという由良。


これはただの偶然じゃない。


もしこの連続殺人事件の被害者が赤の他人ばかりだったら、どれだけよかったか。


スマホを握りしめる手にグッと力が入って、壊してしまいそうになる。


「だからごめんね、悠くん。もう誰とも会わないほうが誰かを傷つけずに済むから……」


また涙が出てきそうになった。


涙腺がゆるくなっているのかもしれない。


握り拳で目をごしごしとこすり、なにかが失った気持ちに気づかないフリをしながらゆっくりとそう言った。


『そうか。抹里がそう言うんだったら仕方ないな。でも、俺は抹里にならいくら傷つけられてもかまわないけどな』