もちろん、いとこ以外の異性とのコミュニケーション力を向上させるきっかけを作った若葉にさえも言えなかった。


合コンで会った野々村さんと畠さん、さらには磐波さんにすら完全に心を開いてしゃべったことは一度もなかった。


それだけじゃない。


家族にも、悠くんにも言わなかったんだ。


なんで今まで気づかなかったんだろう。


私にとって、一番頼れる人。


その人物はいそうで、じつは誰もいない。


そうだったんだ。


完全に心を開いて本心をうちあけられる相手なんて、どこにもいなかったんだ。


ということは、私はずっと孤独の中で毎日を過ごしてきたのか。


小さいころから他の子よりも我慢して、誰にも頼らずにひとりで問題を解決したきた。


『たまには頼ってもいいんだよ』


手を差しのべて救いの道を与えてくれた大人たちの言葉を振りきるように生きてきたんだ。


そうか。


もう……私には心の底から頼れると思っている人なんて誰もいないんだね。


学校にいる間はクラスメイトから羨ましげな目で見られていたけど、私はクラスメイトが思っているほど華やかでいい人じゃない。


家でも学校でも私はずっとひとりぼっちだった。


その事実がのしかかり、頭に強い衝撃を与えられた気分だ。


なんだか泣きたくなってきた。