本当に似合ってるのかな?


疑問を感じて首をかしげる。


「このドレス、似合ってる?」


「うん。榎本さんって可愛いから、なんでも似合っちゃうんだね」


若葉が目を細めてニコッと笑う。


そんなに褒めてくれるの?


ほとんど接したことのないクラスメイトにそんなことを言われたのは、はじめてだ。


あまり話さないクラスメイトのうち、こんなに私を褒める生徒は指を折れるくらいの数しかいない。


私がこの格好が似合っているか似合っていないかはともかく、この服を着てよかったということでいいのかな。


そう思い、心の中で由良と秋帆とネネにお礼を言った。


思っていることを隠して、若葉に向かって負けないくらいの笑顔を見せた。


「そんなことないよ。朝丘さんこそ似合ってるよ、その格好」


「そうかな? ありがとう」


本当にそうですよ。


私よりも若葉のほうがずっと似合ってるよ。


しばらく若葉と話していると、向こうから見知らぬ男子グループがこちらに向かってやってきた。


その男子グループに気づいた若葉が「あっ」と声をあげて彼らに手招きをした。