慣れない靴をはいているせいでもあるけど、一番は周りからの視線が妙に痛いような気がするせいだ。


なんだなんだと言わんばかりに、私とすれ違う人たちがチラチラと見ていた。


あんなドレス着て、いったいどこに行くんだろう。


若い女の子がひとりで出歩くなんて、なにかあったのか。


視線だけでもそんな言葉が聞こえるような気がして怖い。


それに加えて、また例の奇妙な視線を感じた。


若葉に合コンに誘われた日以来なくなったから安心したけど、まだ続いている。


私が外に出るタイミングでうしろをついて歩くということは、視線の主は私の家を知っていて、かつ私の予定をすべて知っている人物に限られる。


私と常に接している人物といったら由良に秋帆、ネネにえる。それから若葉だ。


でも由良以外、私の家の場所は知らないはずだ。


まさか由良?


思いきってうしろを振り返ったが、人影どころか人が立つ気配がない。


その様子にゾッとしてしまう。


なんでうしろには私以外誰もいないの?


「怖い……」


両腕をさすり、そうつぶやくことしかできない自分が一番怖い。


気をまぎらわすために左腕につけた腕時計をじっと見つめた。


嘘、待ち合わせ時間まであと10分しかないの⁉︎


周りからの視線を逃れるように、全速力で待ち合わせ場所まで向かった。