「さーて家帰ろーっと」


松林君は私達に
手を振ると歩き出した。


家に帰るんだろう。


手を振り返し何気なくその姿を見送る。


まったく…ほんとに陽気だなぁ。


「ふんふふーんふふーん」


鼻歌を歌いながら歩いている松林君。


さっきまで幽霊トンネルに居たとは思えない程の明るさに感心していると、


彼はズボンのポケットへ手を伸ばした。


ポケットから
青色の光沢が輝く携帯を取り出し、
電源ボタンを入れる。


パッと微かに光がついた。


「ふんふふーん……………あ?」



ぴたっと彼の動きが、止まった。



…松林君?



突如鼻歌が途切れ、彼は動きを止めた。


後ろ姿から携帯の光が漏れ出す。