「おー…やっと出口か!」
智弘の視線の先を追うと、
薄く光が見えた。
といっても夜中だから暗いけれど。
「はぁ……なにもなくてよかったわね…」
「だね。…もう途中死ぬかと思ったよ」
莉香のため息に苦笑いを浮かべる。
もうこんな目にあうのはこりごりだ。
今日限りにしよっと。
なんて考えてるうちに、私達を澄んだ空気と僅かな光が迎え入れた。
「はーっ……やっぱ外の空気はおいしいな」
「寿命縮まったぜ……」
智弘に笑いかけた松林君に
「あなたはなにも体験してないでしょう…」
恢斗の横槍が入る。
この2人、何気に仲良さそうだ。
目を細めて遠くを見ると
いつもの風景がとても鮮やかに見えた。
爽やかに吹く風はくすぐったく、
それでいて気持ちよかった。
毎日見てるはずの景色が
こうも変わるものなのかとかなり驚いた。
「警察官…まだ戻ってきてないね」
柚姫の言葉に恢斗はふっ、と笑った。
「今頃嘘だとばれて騒いでるかも知れませんね」
なんてしれっと言う恢斗に思わず小さく笑ってしまった。