「…松林さん、今、何時かわかりますか?」


恢斗は携帯の電源ボタンを何度か押していたが、黙ったままの携帯を見ると


1つ溜息をつき松林君へ問う。


「あん?充電ねえのか?しゃーないなぁ…えーと…11時40分だぜ!」


胸を張りながら松林君が私達へ向けた携帯に表示されたのは11:40の文字。


それを見ると、恢斗は
安堵の表情を浮かべた。


よかった……
零時になってなかった。


私達もほっと胸に手を当て息を吐いた。


溜まっていた不安が吐き出されると、


「では、帰りますか」


ゆっくりと歩き始めた。


「俺もか!?まだ入ってばっかなのによ…」


「残りたいならどうぞ。もうすぐ零時ですけど?」


「……さぁて帰るか!!」


「はぁ…」


恢斗と松林君のおちゃらけた
会話を聞きながら、


心底私はほっとしていた。


やっぱりあの足音は松林君のだったんだ…


そりゃそうだよね。


だってただの噂だもん…。