「あ、智弘!?ごめん!」


前にいた、智弘が立ち止まっていた。



それに気付かず頭からぶつかってしまったのだ。


慌てて距離をとる。


なぜ立ち止まったのか確認すべく
先頭の恢斗の方へ視線をやる。




「…恢斗…?どうした?」


智弘の問いに恢斗は答えなかった。


「…恢斗くん?どうしたの……?」


柚姫も不安げに問う。


「……だれか、きます」


「……え!?」


恢斗の言葉に皆が目を見開いた。


暗闇の奥の方へ視線を集中させる。


私の視界がこちらに向かって走ってくる人影を捉えた途端、


「ひっ!!」


思わず小さく叫ぶ。


真っ暗だったせいもあり、感覚が麻痺していたのか。足音にも気づかなかった。


逃げる暇なんてなかった。


「…い…やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


どんどん迫る人影。