美雨、なんで泣いてるんだよ。
お前は俺がまだ好きなのか?
自惚れるぞ?
でも、美雨はずっと呆然と立っている。
「美雨ッ!!」
…………美雨は走って何処かに行った。
なんでだよ。
「お前のせいで、美雨が傷ついただろうがッ!!!」
女の胸ぐらをつかんで激怒した。
「ヒィッ!!
ご、ごめんなさい!!」
そう言って女は消えた。
…………そんなことより美雨を追いかけねぇと!!
でも美雨はいくら探しても見つからなかった…。
…………疲れた。
気づけば知らないところを走っていて息切れが激しかった。
「何処?」
それでも、分からなくて私は歩いた。
ここ何処何だろう。
理巧、きっと今頃は…………。
そう思うと溜め息しかでなくて、私は効果音がつきそうなほど落ち込んでいた。
しばらくすると、ベンチを見つけて座った。
そこで休んでいると突然胸に今までに感じたことがない強い痛みが走った。
「痛ッ!!
え…?」
胸には薄くだけれど痣があった。
つまり、ウイルスに感染した。
いざなってみるとパニックになるのは当たり前。
今日が1日目か。
…………私、あと6日で死んじゃうんだ。
でも良いかな。
理巧は彼女と幸せだろうし、理巧に迷惑はかからない。
とりあえず、家に帰ろう。
家に帰って寝てやりたいことないけど大人しくしてよ。
あの時から5日経った。
つまり今日は2日目…。
あと5日で私は死ぬんだなぁ。
5日間はずっと寝て過ごしてた。
でも胸がすごく痛くて熟睡までは眠れなかった。
……………孤独死ってこんな気持ちなのかな?
誰も側に居なくて、助けを求めることも出来なくて。
静かに、誰も気づかれずに死んでいくんだな。
お母さん、お父さんは向こうで元気かな?
会えるかな?
会えなくても、この世にさまよっても良いかな。
胸の痣は色がどんどん濃く、大きくなってる。
疲れたなぁ…。
「ピンポーンッ」
ん?
チャイムが鳴ったのかな?
誰かな?
でももうあまり、動けなくて出ることが出来ない、
「美雨ッ!!
美雨いるのかッ!?」
理巧の悲痛な声が聞こえる。
理巧、何で来たの?
ウイルスに、感染しちゃうからそれ以上来ちゃダメだよ?
彼女の側に居なくて良いの?
なんでそんな悲痛な声を出すの?
「理巧…。」
久しぶりに出した声はか細くて少し掠れていた。
「美雨ッ!!」
理巧がドアを叩いたり、ドアノブを必死に動かしたりしてる。
理巧?
無理だよ。
鍵閉めてるから開かないよ?
………………ごめんね。
なんか、すごく眠いや。
理巧の声が聞こえてきて、まだ忘れないでくれてるだけで嬉しかったよ。
理巧、本当にありがとう。
理巧に会えて本当に幸せだった。
ねぇ、理巧…。
私は理巧の幸せを本当に心から願ってるんだよ。
私なんかほっといてくれて良いんだよ。
理巧。
「………………ばいばい。」