「フランスに転勤?!」
僕はそんな言葉を与那の口から聞いた瞬間、
こいつは何を言っているんだと思った。
「なんでいきなりフランスなんだよ?」
そうやって責め立てると、与那はウルウル
した目できつく口を結び、下をそっと向く。
「私にも分かんないよ。でもお母さんが言う
にはね、お父さんの会社がついに海外進出し
たみたいで、うちのお父さんがその第一歩と
なる派遣員?みたいなのになるとかなんとか
...。だから、良い機会だし与那たちもおい
で。」って。
俺は悲しみと驚き半分半分の気持ちで与那
の話を聞いていた。
「んな話あるかよ。驚かせ方にもほどがあるぜ。」
そうして、与那との突然の別れが訪れようと
していたのである。