ところで、と岸島は風呂敷包みをおまさに渡し、 「かねてより預かっていた原田どのの形見、おまさどのにお渡しいたす」 と岸島は言った。 「…これは」 風呂敷包みを開くと、白木の位牌がある。 「それは上野の寺で書いていただいたもの、そこに戒名と命日が入っておる」 「お前さま…」 おまさは位牌を抱き締めた。