「そんな顔してたら、お姫様の称号が台無しよ?」


お昼休み。お弁当を食べていると奈々が呆れたようにため息をついた。


そんなこと言われても、嫌なものは嫌なのだからしょうがない。私は顔に出やすいタイプだ。


「お姫様って言うな」


「ねぇ、真面目に。なんで瀬川くんのことそんなに毛嫌いしてんの?」


「なんでお姫様役が嫌って選択肢はないのよ」


「あんた目立つの嫌いじゃないでしょ」


「お姫様はさすがにキツイって!!」


「あんたが瀬川くんのこと嫌いなのは事実でしょうよ」


「…別に、嫌ってなんか」


「ハイハイ、私に嘘つこうとしてもムダ。
吐いちゃいなさい、楽になるわよ」


ああもうこの友人は全く優しくない。
優しくないくせに、言っていることは常に正しいのだ。


言ってしまう?私の「トラウマ」を?


でもそれで嫌われてしまったら?
また、あの日々に戻ってしまったら?


「ねえニュースニュース!!
また転校生が来るらしいよ!」