と、いうことで、王子様役からくじを引くことになった。


「アタリの人には星マークが書いてあります。
誰ですかー?」


委員長の声にクラス中が固唾を飲んで見守る中、1つの腕がすっと上がる。


「俺、です」


王子様役を引き当てたのは、他でもない瀬川だった。


「持ってるねぇ、あいつ」


「お姫様争いはもっと激しくなりそうだな」


「ほんと、恐ろしいね」


まぁいいけど。私には関係ない話だし。


「じゃあ、王子様役は瀬川くんに決定です!」


パチパチ、と大きな拍手の後、お姫様役のくじ引きが教卓に置かれる。


案の定我先にと女子が殺到し、私は最後の1枚を取った。


「アタリの人にはハートマークが書いてあります」


………ああもう、ほんとに。


「あれ、アタリの人誰ですかー?」


誰も手を挙げず、静まり返った教室を委員長な見渡す。


お願い、神様。どうかやり直して。


「ブッ!」


隣の拓海が私のくじを覗き込み、盛大に吹き出した。


「委員長ー、お姫様役、こいつこいつ!
遥だよー!」


「ちょっと!」


あろうことか、私のくじには、ピンクのハートマークがでかでかと書いてあるのだった。