「イヤだ、もう起きる!離して!」


「まだ6時だよ?あと1時間は寝れるって」


「いいの、勉強するから」


「なんでそんなに嫌がるんだよ。
あ、分かった。俺と一緒に居ると、俺のこと好きになっちゃいそうで怖いんだ?」


「違う!」


「じゃあいいじゃん」


「それとこれとは話が別で…っ!」


「じゃあ、なんで?
ああ、その真っ赤になった顔を隠すため?」


くっそこいつ!絶対確信犯だろ!!


心の中では思いっきり罵っているというのに、私は口をパクパクさせるだけで(ウソ、だけじゃない。きっともっと顔赤くなってる)


「いいよそんなの気にしなくて。
めっちゃ可愛いから」


「…さっきから可愛いとか思ってもないこと言うなっ!
嘘つきなんかと一緒に居たくないの、離して」


「…はぁ。もう。じゃあなに、どこがどう可愛いか説明しようか?
いや、それじゃあ1時間以上かかるなぁ…」


うーん、と瀬川は少し考えたあとで、少年のような笑顔を見せた。(笑顔のレパートリーいくつあるんだよアンタ)


「これ以上抵抗するならキスするよ?
もっと、すっごいやつ」


「なっ…」


結局私は、起床時間までの1時間、瀬川の腕の中に居たのだった。


(瀬川は寝ると思ったのに、ずっと私の方を見てるから何発か殴りかけたのは裏話だ。全部止められて手の甲にキスを落とされたけれども)