瀬川は、小学生の頃からイケメンだとよく噂になっていた。彼を好きな女子なんてそこらへんにうじゃうじゃ居たけれど、誰も瀬川のハートを射抜けた子は居なかった。


確か、5年生のころだった。私は彼と同じクラスで、幸か不幸か私達は隣の席だった。


昔から顔には執着しないタイプだったので瀬川にも他の男子と同じように接していたし、それが普通だと思っていた。


「遥、昨日の8チャン見た?」


「見た見た、ものまね大会でしょ?」


「俺も鶏のモノマネ上手いんだよ。行くぜ?
コケッコケコケコケッ!!」


「瀬川、ちょ、顔っ!!モノマネも上手いけど、顔芸がすごすぎるっ!!あははははっ!」


「見るのは顔じゃねぇだろ!声だろ声!!」


「いや無理だってっ、そんなっアホ面見せられてっ笑わない訳にはいかなっいでしょ!!」


「笑いすぎだよ!」


何度も何度も、2人で顔を見合わせて笑った。くだらない話をした。


私も彼のことを友達として好きだったし、彼も明らかに私と他の女子では対応が違った。
(優しいとかそういうことではなく、変顔してきたりとかからかってきたりとか。小学生男子なんてそんなもん)


そしてそれはいきなり始まった。


スクールカーストの1番上に君臨するグループのリーダーの好きな人は、瀬川だった。