「「いただきます」」
母は出張に行く前、必ず1週間分のおかずを作り置きしていく。(量が二人分になっていた。やっぱり確信犯だ)
それらをテーブルに並べ、瀬川と食事をする。
私が不機嫌なのを察してか、瀬川は何も言わない。
無言の食卓の空気は、ズーンと重かった。
なんでよりによってこいつと同居なんて…。
ああ、もう最悪。
お母さん、なんでこいつの父親なんかと取引してんのよ、勘弁して。
「そんな顔しないでよ。
せっかく美味しいんだから、もっと…」
「そんな顔させてんのは誰よ」
ふざけるな、とギロリと睨んだ私に、瀬川は肩を竦めた。
「ごめんって、何も知らないとは思わなかったんだよ」
罪滅ぼし、とばかりに、作り置きのおかずは私の大好物ばかりだった。