実際には、外出許可が出せるはずがないほど、夕花の病は進行していた。

なぜ、病院から外出許可がおりたのか?

それはもう彼女は手の施しようがなく、死を待つのみだったから。

『どうせ死ぬなら好きなことがしたい』と、彼女は両親、医師に言ったそうだ。

両親も医師も彼女の意思を尊重し、外出許可が出たということだった。

つまり保健か何かの授業で習った、『ターミナルケア』とか言うやつだ。


そして夕花はオレとデートすることを選んだ。…自分の命を縮める事になることを知りながら。

デートの最中も辛かっただろうに、オレが気が付かないくらい、平気そうに振舞ってた。

こんなに嬉しくて、悔しいことがあるだろうか?

オレを選びデートをしてくれたのは凄く嬉しい。

素直には喜べない。

オレとデートをしなければ、夕花はまだ生きていたのに。