この日から私は毎日のように屋上へ行くことにした。大和の笑顔を見てると、いじめのことなんて忘れて笑える。だから、最近は学校に行くのが嫌じゃない。
今日も屋上へ行って大和に会うことを楽しみにしながら登校した。今日は下駄箱の中に【死ね】と書いた紙が入っていた。さすがにこれはまだ傷つくけど、くしゃっと握り潰してゴミ箱に捨てた。私、大和に会ってから心が強くなってる気がする…。
自分に少し自信がついた。これも大和のおかげだ。
「なににやけてんの、キモいんだけど。」
いきなり話しかけられて、ビクッとした。いや、話しかけられたんじゃなくて悪口言われたのか…。
「ちょとさー最近佐々木お前ちょーし乗ってない?」
私をいじめてるリーダー格の女子が言った。
その取り巻きたちが次々と悪口を言ってくる
「うっざいしー」
「きもいよーちょーしのんなー」
罵倒が飛んでくる。
「ちょっと佐々木ー、昼休み体育倉庫来てくんなーい?」
「来てくれるよねー」
下駄箱の前で、周りに人はいっぱいいるのに誰も助けてくれない。
「シカトすんな!」
1人の女子が私の足を蹴った。
「痛っ…」
「昼休み体育倉庫に来・い!つってんだよ」
私はその勢いに圧迫されて、なにも言えず首を縦に振った。

昼休みーー
私は恐怖を押し殺して、体育倉庫の前に立った。
今日こそ言うんだ。もうやめてって。
ガラガラとドアを開けると、中には誰もいなかった。
「あれ?」
すると、いきなり後ろからドンッと強く押された。体育倉庫の中に倒れ、ガラガラッとドアが閉まり、ガチャンと鍵をかけられた。
「え、うそ…。ちょっ、出してよ!」
ドアの向こうから返事はない。私は体育倉庫に閉じ込められてしまったらしい。
この体育倉庫に窓はなく、真っ暗で、ほとんど使われておらず、誰もこの中に人がいるなんて気付かない…。
なんで私はこんな目に…。こんなところにひとりで…。
「もう…死にたい」
泣きそうになりながらも耐えていた。
すると、ガチャガチャ…ガチャンッ鍵を開ける音がする。
バンッ!勢いよくドアが開いた。
顔を上げると、そこには私の大好きな笑顔。安堵の表情。
「良かった!ここにいた!」
「やま…と…」
大和の顔を見たら、涙がブワッと溢れて来た。
「屋上に、来なかったからっ心配…した」
息を切らしながら私のそばに駆け寄ってきてくれた。走って探してくれてたんだ。
大和は、悲しそうな笑顔で私の頭を撫でてくれた。
「大丈夫か?俺がいるから…」
大和の言葉はいつも暖かい。大和がいるから…私は大丈夫。
「…ありがとう。大丈夫。」
小さく呟いた。