「俺から先に言わせて。俺、ずっと好きだったんだ。あの日、階段で出逢った時から結月のことが」


その瞬間、遠くに花火が見えた。


──…ドーン
ドーン…──と大輪の花火が咲いていく。


そうだ、今日は花火大会。


「綺麗」


「来年も一緒にここから見よう。その時は浴衣で来いよ」


「はいっ。私も瀬名先輩のことが大好きです」


「じゃあ、結月のこと、俺に独り占めさせて」


甘い言葉の後、瀬名先輩が私にキスをした。


とても優しいキスを。


私の鼓動も花火の音に合わせるように、ドーン、ドーン、と波を打ち、その鼓動が瀬名先輩の鼓動と重なって、今だったらなにもかもが許せてしまうような、そんな幸福な気持ちで満たされていた。溢れてしまいそうなほどに。


そして、瀬名先輩と約束をした。


このCのかたちをしたコーンスナックが東京で買えなくなったら、一緒に関西へ買いに行こう、と。


瀬名先輩は、いつまでも私の王子様。





【瀬名先輩は王子様*END*】