ちょうど一年前。
私が高校一年の時。
先生に『クラス全員分のノートを集めて、社会科準備室に持ってきてほしい』と頼まれた。
ノートって、積み重なると想像以上に重いし、足元が見えなくて。
踏み外さないように、階段を一段一段降りていると、
「危ないから、貸して」
という言葉で、急に視界が開け、腕の痛みが消えた。
誰かがノートを半分以上持ってくれたのだ。
その『誰か』が瀬名先輩だった。
「どこに運べばいいの?」
「社会科準備室です」
「了解!」
そこで初めてふたりの視線が重なった。
さらさらの黒髪に、綺麗な瞳。潤いのある唇。イケメンを超越した素敵な人。
私の心に恋という天使の矢が命中した。
つまりは、一目惚れ……。