「碧瀬が飲み物を買いに行くって言うから、一緒についてきただけだよ。っていうか、もう電話終わったのか?」
「いつもの近況連絡だから、そんなに長々と話すことはねぇんだよ」
「…ったく、隙がねぇ奴だな」
玲音くんは呆れた様子で溜め息を零すと、ジーッと睨んでいる壱夜くんの傍へと向かう。
穏やかな声だけど、目が少し挑発的に見えるのは気のせいだろうか。
「なあ、黒河内にとって…碧瀬は何?」
「大切な友達」
「お前、実際は気付いているのに隠してんの?それとも、まだ自覚してないとか?」
「どういう意味だよ」
顔をしかめながら、少しだけ首を傾げる壱夜くん。
ピリピリした空気が流れたのも束の間、玲音くんからフッと笑い声が漏れた。
「その表情から察するに、後者って感じか。黒河内も可愛いところがあるんだな」
「は!?」
壱夜くんは、眉間にシワを寄せる。
“何言ってんだコイツ”的なオーラが漂ってるよ…。
その気持ち、分かるけど…。