「碧瀬が“友達になろう”って言ってくれた時、心の奥で嬉しく思ってる自分がいて、あの日からアンタに対する印象が変わった。学校ではアンタを見かけると目で追ってるし、アンタのこと考える時間が日に日に増えてる。こんなこと、生まれて初めてなんだよね」
少し照れくさそうに玲音くんは微笑むと、私に顔を近付けてきた。
「これが、どういう感情なのか、この答え…分かる?」
玲音くんの感情…?
「うーん……」
壱夜くんや桃舞くんに、危機感や警戒心が無いって言われたりするから、心配してくれてるのかな…?
危険なことに首を突っ込まないように見守ってくれてるとか…?
「はい、時間切れ。やっぱり、安定の鈍さだな」
「安定…?」
なんの話だかサッパリなんですが…。
「まあいいや。正解は……」
「そんなところで何してんだよ、紅月」
突然、飛んできた低い声。
振り返ると、壱夜くんが不機嫌そうな顔をしながら、こちらに歩いて来る姿が目に映った。