「ちょ、今の見た!?ヤバくない?」


「ヤバい!超ヤバすぎ!!」


「いいなぁ…。私も素敵な彼氏欲しい」


「同感」


女の子たちは、はしゃぎながら立ち去ってしまった。


“ヤバい”って何度も言ってたけど、何が?


特に危険なことはしていないのに…。


もしかして、私の語彙力が乏しいだけなのかな…。


頭の中で疑問符を漂わせていると、玲音くんからフッと笑う声が聞こえた。


「俺ら、こうして二人で居ると、付き合ってるように見えるんだね」


「玲音くん、ごめんね。勘違いされて、不愉快だったでしょ?」


「ううん、全然。むしろ、ニヤけた」


「えっ?」


どういう意味…?


首を小さく傾げると、玲音くんは可笑しそうに笑った。


「それじゃあ、突然だけど問題」


「なっ、何!?」


「俺、当初はアンタみたいな度胸のあるお節介女、関わり合うのが面倒だと思ってた。“彼女になって”って言ったのも、単に黒河内から奪おうとしただけ。それ以外には何も無かった。だけど…」


玲音くんは真っ直ぐ、私の目を見て言葉を続ける。