「玲音くん、ありがとう」


「いつも黒河内のガードが堅いから、こういう機会は大事にしないとな」


「…………」


なんの話?


よく分からないけど、まあいっか…。


「それにしても、今日の碧瀬はパワフルだな。あの元気いっぱいの神楽がダウンするぐらいだし」


「遊園地って小6以来なの。当時はアトラクションよりもパレードとかショップを見たりしてたんだ。だから、ついついテンション上がっちゃって…。そのせいで…」


「碧瀬が責任感じる必要は無いよ。だいたい、コーヒーカップに行くまでは、碧瀬よりも元気で鬱陶しいぐらいだったんだから」


それは、そうかもしれないけど…。


「神楽も、もう少し休憩すれば大丈夫だろうし、碧瀬は引き続き楽しめばいい」


「うん…」


“碧瀬は”かぁ…。


「玲音くんは、楽しめてる…?」


「ここに来るまでは、あまり乗り気じゃなかったけど、今は来て良かったと思ってるよ。碧瀬の満面の笑顔を見てると、俺も楽しいから」


玲音くんが浮かべた笑顔は、今まで見たことないぐらい優しさに溢れていた。