『桜国』
まずこの言葉を聞いたことがない人はいないだろう、と言われるほどに有名な地域だ。
そこには3つの学園が存在する。
『桜宮学園』『桜鬼学園』『桜姫学園』
偏差値は全国でもトップクラス。
入学試験の制度は特殊で、入学試験及び学力テストに加え、体力テスト、更には生徒に知らされない容姿審査も行われている。
その試験を乗り越えた者は、頭脳明晰、容姿端麗、運動神経抜群と、3つを兼ね備えた最強の逸材だ。
そんな者達が集まる桜国は全国の憧れの街であり、地域一帯は桜国の為に開拓されたと言っても過言ではない。
全国の中学生の多くが、桜国で暮らすことを目標に努力をしているのだ。
偏差値を比べると、桜宮が一番高く、その次に桜鬼、桜姫と続く。
桜宮が少し高くなる理由は共学だからだ。
桜鬼は男子校、桜姫は女子校と性別で括りがあるために、自分の力がどれほどであるのかを同性としか比べることが出来ない。
それに比べて桜宮は男女関係なく試験を受けることが可能であり、より合格することが難関になるため、偏差値が一番高く、桜国の中でも一番優遇される。
桜国のいずれの生徒でも全国トップクラスということに変わりはないが、多少のレベルの差はあるということだ。
桜国の入学試験及び学力テストは、大学入試で例えると難関私立大レベルである。
それに加えた体力テストは中学生で測るものと内容は変わらない。
各測定の年齢、身長平均を元にした点数を合計し、体力テストの得点とするだけだ。
生徒に知らされず行われる容姿審査はその名の通り、容姿の美しさや美意識の有無をチェックされる。
しかし受験する生徒の中には何らかの事情があり本当の姿を隠している者も少なくないため、体力テスト用の指定の体操服に着替えてもらう更衣室に審査員が設けられている。
こうして行われる試験は毎年大掛かりだか、手間がかかっている故に、桜国と呼ばれるほどになり、そこに暮らす者は全国の未来を支えていく人材となる。
3つの学園創立以来、この試験全てを満点で入学した首席は誰ひとりいないという。
それほどこの試験は難関であり、トップの能力をもつ者達にもまだ伸び代があることを教えてくれる、とても素晴らしい学園である。
試験が厳しい代わりに通常制服の指定以外の校則は無に等しいほど自由だ。
そんな校風に抱く憧れも、この桜国を目指す者が年々増え続けている理由だろう。
試験を乗り越えて晴れて桜国の生徒になった者達の中でも、最も能力値が高く、優遇されるのは生徒会役員である。
入学試験の合計値がトップの6人は各学園の生徒会役員候補となり、先輩である2年生の成績トップ6人の入学時の点数と比較して、計12人の中から6人を生徒会役員に任命する。
一学年の役員の人数に縛りはなく、役員全員が2年生、もしくは1年生、という場合も容易にある。
入学試験の制度は学園創立以来一度も変更されていないが、もしこの先変更があった場合には、役員候補の2年生も改めて試験を受けることになるだろう。
生徒会は各学園の顔となり、頭脳明晰、容姿端麗、運動神経抜群の3つの能力が最も高い、全校生徒の憧れ、そして目標に値する。
一般生徒は通学制か寮制かを選択できるが、生徒会役員だけは全寮制となっており、その寮も特別である。
桜中駅から北に真っ直ぐ進むと大きな寮、''桜国寮''がある。
その寮は3つの学園の生徒会役員が暮らす寮であり、一般生徒は入れない。
一般生徒の寮は各学園の敷地内にあるため、生徒会役員だけが特別寮となっている。
桜国寮は4階建てで、各階で学園が決まっている上、生徒会役員一人一人の個室が用意されているとても豪華な寮だ。
桜中駅から桜国寮を越え、そのまま直進した真正面が桜宮学園、桜国寮から右折した先が桜鬼学園、左折した先が桜姫学園である。
桜国寮からそれぞれの学園までは、寮から道の先に学園が見えるほどの距離である。
桜国寮はとても広く、各階に学園ごとの共有リビング、ダイニング、キッチン、お風呂などが設けられている。
1階は桜姫の寮、2階は桜鬼の寮、3階は桜宮の寮となっていて、4階は大きな会議室と資料室、また各学園ごとの小さな会議室が3部屋ある。
会議室では3学園の役員全員での会議ができるようになっていて、資料室も各学園の資料が全て保管されている。
小さな会議室では各学園ごとで会議をすることが可能であるが、学園にも生徒会室があり、各階寮のリビングでも役員は顔を合わせるため、使われることはあまりない。
とにかくこの寮はとても広い。
桜国寮は一般生徒用の寮に比べて豪華であり、役員は1年間その寮で生活することが決められているが、生活に不自由はないため、役員の中で通学制を希望する者は今までに誰もいなかったらしい。
それに比べて各学園の敷地内にある一般寮は2人一部屋で同室だ。
各部屋が2LDKで、そこらの全寮制の学校の寮に比べればとても広く豪華ではあるが、桜国寮とは比べ物にならない。
桜国寮で暮らすことも又、生徒達の憧れであった。
桜中駅から桜国寮、又桜国寮から各学園までの道は全て歩行者天国のようになっていて、車やバイクは入ってくることが出来ない。
4車線ほどの広さがある道の両側には大型ショッピングモールよりも店舗が豊富なくらいのファッション専門店が散らばっている。
さらにはコンビニ、スーパー、ファストフード店、少しお高めのレストラン、全国各地に散らばるチェーン店などもあり、それに加えて銭湯、書店、薬局など、幅広い店が並んでいる。
桜国と呼ばれる地域の中は、そこらの都市よりも栄えていて、何不自由ない生活を送れるのだ。
桜国、といっても道の両側にある店や施設は学園専用という訳ではないため、生徒でなくても買い物をすることができたり、桜国周辺に暮らす住民達にとっては生徒同様生活の中心となる場所である。
そんな素晴らしい場所である桜国の中の3つの学園は交流が盛んである。
各生徒会役員の寮がまとまっていることからしても分かることではあるが、入学式、卒業式を含むほとんどの行事を合同で行っている。
そのため、行事の中心となる桜宮学園の敷地は桜鬼と桜姫の3倍はあり、グラウンド、体育館、全体ホールや学園食堂などがとても広く造られている。
各学園ごとに、3学年、各学年6クラス、各クラス30人で全校生徒540人いるため、合同で行事を行うとすると1500人を超える人が集まる。
1500人が同時に同じ場所にいても入り切るほど、各施設は広く造られているのだ。