愛梨と鷹人はいつも通り並んで歩き出した。

流れで鷹人と一緒に帰ることに愛梨は多少の苛立ちを覚えていた。


「さっきの子、可愛かったじゃん。なんでフっちゃったのよ」


「タイプじゃない」


「へーあんたみたいなモテ男は女に苦労しないんですねぇー」


「なんだよそれw」


愛梨の返事に鷹人はフッと鼻で笑うと、暑そうに緩めていたネクタイを外した。

その仕草に流石の愛梨も思わずかっこいいと思ってしまう。


制服のシャツはズボンに入れない、ボタンは開けている、ネクタイは緩めている…そんな不良っぽい格好だけど、それが鷹人には似合う。
鷹人らしい。


「何見てんの」


「だからあんた自意識過剰なの?」


「家、ついたけど」


「お、おう」


「もっと女の子らしい返事しないとモテないよー」


「うっせえバカ鷹人!」


鷹人はまた笑うと、少し先の自分の家に向かって歩き出した。