「総体まであと一週間だね♪頑張って関東出場してね‼」

布団が気持ちよく干せそうな晴天の日。
窓辺に座っている寧音は、目をキラキラさせて机の上に座るわたしを見る。

「どーせお土産がほしいだけでしょ」

バレたか、と舌をペロっと出して笑う。

「ぶりっ子しても今年は買わないよ」

「え!?なんでぇ~」

だって……

「地元でお土産なんて買ってどーするの」

今年の関東大会開催地はわたしの地元だからだ。
わたしが笑うと、寧音はしぼんだ風船になった。

──キーンコーン……

「寧音行こー」

チャイムと同時に隣のクラスから咲(エミ)が寧音を迎えにきた。

「じゃぁまたあとでね」

寧音は重たそうな資料集を持って咲の元へ向かう。

教室の入り口からわたしに手を振る咲は大人しい、というか大人な雰囲気の子。
咲と寧音は去年クラスが一緒だったため仲が良い。最近は、わたしも咲と話すようになった。