急なことで声が出ない。

「使わないの?」

「……ッや、……あ、ありがと」

莉華はわたしの返事を聞くと何事もなかったかのようにポケットからスマホを出し、先生に見つからないように隠しながらメールを打ち始めている。

わたしはしばらくその場に立ち止まっていたけど、早く書けぇー‼とどやされてやっと体が動いた。

莉華の回答は穴だらけなうえ、間違いだらけだった。
わたしには正しい答えがわかったけど、それでもわたしはその間違いだらけの回答を黒板に書いた。


その後、莉華とまた前のように教室の中で笑いあえる仲になるのに、そう時間はかからなかった。



不器用な時代だから、答えなんてない時代だから。自分の行動が大切になる。

あの時、わたしが莉華を追いかけなかったら、今いったいどうなっていたのだろう……
そんな怖いこと考えてもしょうがない‼


もう空はあったかい。

『でもきっと7ヵ月後にはもう7ヵ月なんだって感じなんだろうネ』

時間の流れは速いんだと気づかされた春。


.