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甲子園が始まり、夏休み中ずっとテレビと睨めっこ。
寧音の解説なんかを聞くよりも、実際にずっと見ている方がルールは頭に入っていった。

たくさんの試合を見て、たくさんの思いを知る。プレッシャー、喜びの笑み、くやし涙。すべてがつまった球場……
幾度かホームランも見た。
どの選手も全国レベルの打撃だけど……藤嶋輝空よりもわたしを引き付けたバッターはいなかった。

わたしの一目惚れは、そうとう妄想が高いみたいだ。
会ってみたい、話をしてみたい。夏休みなんてつまらない早く終ってしまえ。
そんなことを願うようになるなんて、この年が初めてだった。

そんな風に新学期を待つわたしが、新学期より前に出会うことになるだなんて、誰が思いつく？
それも、特売の豚肉を片手に持った姿の高校球児にだなんて……