横からボーズ頭をガシガシ撫でてじゃれてから『……悩んでるなら相談くらい聞くよ?』と聞くと、輝空くんは顔を変えて遠くを見つめた。
今日の輝空くんはやっぱり何か違う。
何か……一人で抱え込んで、苦しんでいるように見える……

「お前に弱音吐いたら、俺泣いちまうかもしれねぇーから……」

そんなの恥ずかしいじゃん?
そう言って無理に笑顔を作って、俯いてしまった。
わたしは黙って右手で輝空くんの左手を引いた。強引に輝空くんの手を引き、さっきの石段から離れる。

「ぁ、歩舞っ!?」

急なことで輝空くんは驚いていたけれど、抵抗はせずわたしに動かされる。

お宮の敷地の中心で足を止めて輝空くんに振り返った。
手は繋いだまま雨の中に立っていると、冷たい雨の雫が頬にあたっては下へと流れ……それを繰り返す。

「ここなら、わからないよ」

「え……?」

言葉の意味を理解出来ない様子でわたしを見る輝空くんに、小さく笑顔を見せる。