「あ、歩舞おかえりー。どこ行ってたの?」

教室に戻る途中の廊下で、寧音は尊の隣からひょっこり顔を出す。

「んっとね~進路室でボーズ頭に拉致られてパシリにされてたー」

わざとらしいくたくた顔で話していると、輝空くんに後ろから頭を押された。

「拉致じゃないからー。ジュースおごってやったじゃん‼」

「どうもありがとうございましたデス」

「まぁいいってことよ」

あれ‥…なんか立場逆じゃない!?と言う前に、輝空くんは両手をズボンのポケットに入れて教室に入って行った。

「お~っ♪スクールラブしちゃってますねぇ~奥さん♪」

さっきまでのやりとりを見た尊が、むふふ♪と上から見下ろして冷やかしを入れる。

「いやいや、スクールラブじゃないよ。親友ですから」

わたしは照れ笑いを返す。

「いいなぁ~っ、私も高校球児とスクールラブしたいっっ。願わくば甲子園球児と」

「いいなぁ~っ、俺も美人女優と付き合ってみたい」