「頭ボサボサじゃん♪」

「あんたがやったんでしょガッ」

頭をなでるのは輝空くんのクセなのだろうか……。触れられる度にドキッっとしてしまう。

「これ終わったら付いてきてな」

「えーっまだあるの??」

「文句は受け付けまセーン」

「今日の輝空くん、チョー自己中デース」

「ほら、いいから手動かせ~」

「あーい」

小さなスペースで流れる時間。
ここで時間を共有するのは二回目だ。

「歩舞」

「何?」

最後の資料を棚に入れている輝空くんに呼ばれて振り返る。でも、輝空くんは振り向かない。

「……やっぱなんでもない」

「え?」

いいよ、気にすんな。と、振り返って笑う。けど……『ナンデモナイ』と呟いた輝空くんにどこか影を感じた。


「じゃあ行くぞ」

輝空くんに続き進路室を出てから、ふと窓の外に広がる空を見ると……太陽に雲がかかりだした。