朝の羽毛の温もりが目覚めを妨害する季節。毎朝、布団から抜け出すのが一苦労だった。

10月18日、月曜日。

秋のその日をわたしはずっと待っていた。
ずっとその日だけを夢見て──……
そして月日は巡る……巡って、巡って、巡った。



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失敗・悲しみ・後悔・憂鬱・悔しさ・孤独・憎悪・寂しさ・矛盾。
生きている限り、それらを感じずに歩ける道なんて存在しない。

季節は巡り、輝空と別れて一年。
わたしは大切なものを幾つも失い、その度に常に新しいものを見つけてまた失って歩いてきた。

そして高校生活最後の夏が来た。
広いグラウンド、溢れる歓声、みんなが集中。4強入りのかかった試合、麦わら帽子……

野球のルールってどんなですか?一塁ってドコ?
そんなことを言っていたわたしも三度目の夏を見た。

捕手の位置。
わたしは今、アルプススタンドから輝空を見守っている。