綺麗な花火を大切な思い出にしたくて。
一番のポジションで見ようとするのは誰もが考えることだったようで、わたしたちは混雑する道の中心からそれを眺めた。

あぁ、いつだか話したなぁ、輝空とふたりで。

『いつか一緒に、花火見に行こうな』

打ち上げられては消えてゆく光は、まるで遠い日の約束。たくさん、たくさん打ち上げられて消えてしまうんだ。

ッドーン──……ドーン──……

──……にぎわう雑踏の中、目の前の花火から少しだけ目をそらして。なんとなく一瞬、一瞬だけ後ろを振り返ってみる。
ドンッと、わたしはそこを通り過ぎようとしていた集団の一人と肩がぶつかってしまった。

ごめんなさい‼を言う間もないまま、その集団は人の流れに流れて行く。

「歩舞、大丈夫?」

その集団の中に……

「──……輝空‼」

輝空を見つけ、寧音に何も言わずに走ってその姿を追った。