わたしと寧音と譲治と尊はいつも4人でつるんでいた。でも、尊とふたりきりになるのはいつも寧音のことで悩んでいる時──……

「正直、これからがわからん」

なにか、自分に言われたような錯覚。
トラウマ……心臓に針が刺さったかのようにチクっとなる。

「何があったの?」

「別になにがあったわけじゃないけどさ」

あいつ、男とばっかしゃべってんだもん。マジでムカツク。

眉間にしわを寄せてポケットからタバコを取り出した尊の頭を手元にあった雑誌で叩いて、ライターとともに没収した。

今、女と二人っきりになってるヤツがよく言うよ。そう思ったけどあえて言わなかった。
どうせ尊はわたしを女として見ていないし、それはわたしが尊を異性として見ていないのと同じだと思う。

わたしたちを繋ぐものはもっと別の所にある。

「今なら浮気とか普通に俺、出来るよ」

一瞬、怒鳴りそうになった所でわたしは感情を抑えた。

「……そう。でもそれって寧音への当て付けじゃないの?尊は別れたいの?」

「別れなくてもいいんだけど、あいつに今別れ切り出されたって、別にいいよって言える気がするんだ……」

優柔不断だ。と、わたしがそう言うと尊はわたしの手からタバコを抜き取り窓に腰掛け……

「そんなの今に始まったことじゃないよ」

火をつけた。