トイレの窓から見える景色が好き。
いつだったかな、そう言ったわたしを輝空は笑っていた。
「わたしは強くないよ……」
寧音が思うほどわたしは強くないんだ。
いつも笑っているのは、そうしないと泣いてしまいそうだから。元気に振舞っていないと、自分が自分でいられなくなりそうだから。
本当は頭の中は輝空でいっぱいなんだ。
ワイシャツのボタンを外していても、喉の奥は絞まったままで苦しい。
トイレの窓から見える雲が魚の形に見えた。ポケットから取り出したスマホのカメラをかまえ写真を撮る。
スマホを握り締める右手、その腕に付けた空色のミサンガ──……
捨てちゃったかな?
そんなことを思いながら、しばらくの間わたしはそれを太陽にかざし見つめていた。
「大丈夫?」
「え?」
寧音の机に座り、スマホをいじっていた咲。
わたしが教室に戻ってくるのを待っていたかのように動かしていた手を止め、顔をあげてわたしを見つめる。
頭の上にクエスチョンを浮かべるわたしに、さっき寧音が言ってたこと……。と、机の上の荷物をどかしながら咲は心配そうな表情をわたしに向ける。
わたしは自分の席に座り、前にいる咲と机をはさんで向き合った。
いつだったかな、そう言ったわたしを輝空は笑っていた。
「わたしは強くないよ……」
寧音が思うほどわたしは強くないんだ。
いつも笑っているのは、そうしないと泣いてしまいそうだから。元気に振舞っていないと、自分が自分でいられなくなりそうだから。
本当は頭の中は輝空でいっぱいなんだ。
ワイシャツのボタンを外していても、喉の奥は絞まったままで苦しい。
トイレの窓から見える雲が魚の形に見えた。ポケットから取り出したスマホのカメラをかまえ写真を撮る。
スマホを握り締める右手、その腕に付けた空色のミサンガ──……
捨てちゃったかな?
そんなことを思いながら、しばらくの間わたしはそれを太陽にかざし見つめていた。
「大丈夫?」
「え?」
寧音の机に座り、スマホをいじっていた咲。
わたしが教室に戻ってくるのを待っていたかのように動かしていた手を止め、顔をあげてわたしを見つめる。
頭の上にクエスチョンを浮かべるわたしに、さっき寧音が言ってたこと……。と、机の上の荷物をどかしながら咲は心配そうな表情をわたしに向ける。
わたしは自分の席に座り、前にいる咲と机をはさんで向き合った。