『一ヶ月経たなきゃ家に行っちゃだめだからね』

これは母の言葉。
何を心配しているのか、と納得のいかないわたしは付き合い始めた頃のテスト期間に輝空の家に遊びに行った。
輝空の親も共働きのため、その日は家に二人きり。

一緒にご飯を食べて、居間でわたしのプリクラ帳を広げて一緒に横になってそれを見た。
それから、部屋に入る?と、声をかける輝空にわたしは嬉しそうに返事をしたんだ。

輝空の部屋は男の子の部屋としては思ったより片付いていて、広く感じた。白い壁には野球の写真プレートが何枚か飾られていて、わたしはそれを一枚一枚見ていた。

何巻にも及ぶ野球の漫画が机の上に置かれていて。18巻目くらいを手に取りパラパラとめくっていると、持って行く?と輝空が聞いてきたけど……
テスト勉強ができなくなりそうだから遠慮する。そう言ってわたしが断ると輝空は笑ったんだ。

何をするわけでもなかった。ただギュっと抱きしめるだけで愛を感じていた幼い二人だったから、それ以上に進むことはなかった。