言葉花火の行われる花火大会は、シーズンはずれの秋に開催されるそうだ。メッセージの募集期間はまだあるから、と応募ハガキをスクールカバンに入れたままにしていた。
『……てかさ、今気づいたんだけど言葉花火の締め切りそろそろみたいだよ‼明日、お祭りの前にポスト行こうよ』
昨夜、寧音から電話でそう言われてその存在を思い出しカバンからハガキを出した。
そのハガキの内容はとても幸せそうで。
わたしがこのハガキを書いていた時には、もう輝空の気持ちは変化していたの?
そう考えると、そんなことにも気づけなかった当時の自分に何か言ってやりたくなる。幸せにおぼれていた自分を思い出すと苦しい。
「歩舞?」
いつの間にか強張った顔をしてしまっていたわたしの顔を、寧音が心配そうにのぞき込んで、はっと我に返る。
「ごめんね、ちょっとボーっとしてた」
笑ってみせると、寧音は何か自分の中で思いを巡らせているような少しの憂いを微笑みの中に含ませてわたしを見た。
「今日は楽しもうね」
わたしの腕に手を組ませてきた時の寧音の表情は、浴衣に似合う柔らかな色。
『……てかさ、今気づいたんだけど言葉花火の締め切りそろそろみたいだよ‼明日、お祭りの前にポスト行こうよ』
昨夜、寧音から電話でそう言われてその存在を思い出しカバンからハガキを出した。
そのハガキの内容はとても幸せそうで。
わたしがこのハガキを書いていた時には、もう輝空の気持ちは変化していたの?
そう考えると、そんなことにも気づけなかった当時の自分に何か言ってやりたくなる。幸せにおぼれていた自分を思い出すと苦しい。
「歩舞?」
いつの間にか強張った顔をしてしまっていたわたしの顔を、寧音が心配そうにのぞき込んで、はっと我に返る。
「ごめんね、ちょっとボーっとしてた」
笑ってみせると、寧音は何か自分の中で思いを巡らせているような少しの憂いを微笑みの中に含ませてわたしを見た。
「今日は楽しもうね」
わたしの腕に手を組ませてきた時の寧音の表情は、浴衣に似合う柔らかな色。