8月、わたしと寧音は姉の車に乗って夏フェスタに向かっていた。

金魚の泳ぐ淡い水色の浴衣、輝空に見せたかったな。車から見える変わる景色を眺め、ふと、そんなことを思った。

お祭りが嫌いな尊に代わって、本日はわたしが隣でウキウキとはしゃいでいる寧音のお世話係。
会場に近づくにつれて混雑する道を見て、わたしと寧音は車を降り、姉にお礼を言い歩きだした。


「昨日、ハガキ書き直したんだ」

車の行き来する車道の横をゆっくりと進みながら後ろを歩く寧音。

「なんて書いたの?」

「花火大会で読まれるまで内緒」

尋ねる寧音に笑って応える。

「結局締め切りギリギリに出すはめになっちゃったね」